Cell Free ProteinSynthesis System
インビトロテック株式会社


 21世紀はプロテオーム研究の時代とも言われておりますが、無細胞タンパク質合成法はこれを支える要素技術であります。無細胞タンパク質合成法とは、生物の遺伝情報翻訳系を試験管内に取り揃え、専用プラスミド等に組み込んだ目的遺伝子を鋳型として、アミノ酸を望みの順番に必要な残基数結合させることのできる合成系を再構築したものです。無細胞技術を用いると、生き物の命を断つことなく、デザインしたDNAやRNAを鋳型としてタンパク質を実験台の上で迅速・正確に合成することが可能となります。さらに、合成効率が高いことからタンパク質の精製操作も著しく簡便化されるものと思われます。加えて、生命体が利用していないアミノ酸配列からなるタンパク質の大量生産も可能となることから、この無細胞タンパク質合成法がもつ可能性は計り知れないものがあり、次世代の基盤技術として、バイオテクノロジーだけにとどまらず、様々な分野へ広がりを見せるものと期待されます。
 インビトロテック株式会社では、21世紀のバイオテクノロジーの発展をご支援できることを願って、わが国で誕生した高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術の更なる研究・開発を推し進めております。

●当社の無細胞タンパク質合成技術の概略

コムギ胚芽抽出液
 コムギ種子から独自の技術で調製した胚芽抽出液で、最適条件下においてはタンパク質合成反応が5日間以上持続する(特許申請済)。

タンパク質の合成

 目的タンパク質の遺伝子を組み込んだ発現用プラスミド、又は、PCR法で構築した鋳型と基質を含むコムギ胚芽抽出液を保温する。




 これまで本技術を用いて合成を試みた分子量5千から18万ダルトンのタンパク質をコードする22種類の遺伝子については、いずれもタンパク質の合成がみられ、そのうちの14種類のタンパク質については活性を保持していることも確認されています。
 合成の収量については、60時間の透析式連続合成で反応液1mL当たりDHFRは4mg、GFPは1.2 mg、Luciferaseは1.1mg、TMV replicaseは0.6mgの合成を認めたと遠藤教授は報告されています1)。
 また、遠藤教授が開発された重層法(a bilayer cell-free system )を用いて合成する場合、従来のバッチ法と比較して5〜10倍以上の高い収量が得られます。DHFRでは反応液1mL当り500〜700μgの収量を認めています。


[活性を保持していたタンパク質]
Thionin 5 kDa
DHFR18 kDa
Green fluorescent protein 27 kDa
Glutathione S-transferase28 kDa
RAlyase 50 kDa
Luciferase60 kDa
Mouse proteins17 kDa, 48 kDa, 57 kDa, 58 kDa, 110 kDa
Fish protein 105 kDa
Bacterial proteins26kDa, 43 kDa


コムギ胚芽無細胞系によるGFP合成例 (写真は遠藤弥重太教授提供)

●インビトロテックの開発したコムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術の特徴
(1)
従来の無細胞系よりも収量が飛躍的に高く、活性を保持したタンパク質の調製が可能である。
(2)
収率が高いため、合成タンパク質をタグなしでも簡便に精製できる。
(3)
真核生物由来の系であることから、動物や植物など真核生物の遺伝子機能解析に特に有用である。
(4)
動物の遺伝子機能解析においては、本無細胞系が植物由来であることから内因性タンパク質の干渉が低く、また、複数遺伝子の共発現が可能であることから、タンパク質の機能解析やタンパク質相互作用(複合体機能)を高感度で調べることができる。
(5)
生命維持機能の制約から解放されているため、生物体に不都合なタンパク質や、これまで生物が利用したことのないアミノ酸配列からなるタンパク質の合成も可能である。
  
(参考文献)
1)
K. Madin, et al: A highly efficient and robust cell-free protein synthesis system prepared from wheat embryos: Plants apparently contain a suicide system directed at ribosomes. PNAS, 97, 559-564, (2000)
2)
遠藤 弥重太・カイラット マディン:無細胞タンパク質合成システム, 化学と工業, 51,1202-1204, (1998)
3)
遠藤 弥重太:コムギ胚芽を用いた無細胞タンパク質合成法、BIO INDUSTRY, 17, 20-27, (2000)   


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